両親を失ったのは五年前。

俺が小学4年生のときだった。

その日はいつものように楽しい日々が訪れるはずだった。

父さんが仕事が忙しい中休みを取ってくれて、家族三人で出かけるはずだった。







なのに・・・・・・・


















































彼を探しに家を出てからしばらくして、何かが私の耳に入ってきた。

何の音かはまだよくわからないが、どうやら神社のほうから聞こえてくる。

彼だろうか・・・・。

そう思った私は早足で神社に向かった。

音の正体はハーモニカのようだ。

神社への階段を上がるにつれてその音はより鮮明に聞こえてきた。

階段を登りきった時、本殿へと続く道の中央に彼はいた。

彼は立ったままハーモニカを吹いていた。

彼が奏でるメロディーは不思議だった。

まるで懐かしいような・・・悲しいような・・・。

私にはよくわからなかった。

ただただそのメロディーに聞き惚れていた・・・。











































どのくらい時間が経ったのかもわからない。

それほど彼の奏でるメロディーは魅力的なのだ。

いつのまにか私の隣には羽入が居た。

彼女もまた彼のメロディーに聞き惚れていた。







「どうしたの?梨花も散歩かい?」







私は少し驚いた。

いつのまにか彼が演奏をやめて私の前に居たからだ。

「ごめんごめん、まだコレを聞きたかった?」

そう言って彼はハーモニカを私に見せる。

彼には私が演奏をやめられて、不満な顔をしているように見えたらしい。

「みぃ、もっと聞いていたいけど別にいいのですよ。」

内心ずっと聞いていたかったが、それよりも彼と話がしたかった。

「僕は亮太とお話がしたいです。」

「んー・・・別にいいけどその前に・・・。」

彼は首を傾げながらそう言った。

「みぃ?何ですか?」







私は彼に言われるまで忘れていた。







彼は私と同じように・・・











































「その・・・梨花の隣に居るその子は誰だい?」











ハッとした!

そうだ、彼は羽入が見えるのだ!

確か初めて会った時のこと。

彼は私に傘を貸してくれた。

その時に彼はこう言ってた。



『ちょっと二人が入るには小さいかも知れないけど・・・。』



あぁ!私のバカ!何でこんな大事なことを忘れていたんだ!

「あぅ・・・亮太にはボクが見えるのですか?」

羽入が恐る恐る彼に聞いた。

「うん。」

彼はあっさりと言い切った。

「りょ、亮太!!どっ、どうして!?」

私は思わず素の口調で彼に聞いてしまった。

「ふぇ?見えてたらおかしいのかい?」

彼は頭に?を何個も浮かべているような顔をした。

「あぅあぅ・・・ボクの姿は梨花にしか見えないはずなのですよ・・・。」

普通に考えたら驚くところのはずである。

なのに彼は

「ふーん、そうなんだ。」

納得してしまった。

私は思わずズッコケそうになったのを何とか抑えた。

「あっ、もしかして君がこの村で有名なオヤシロ様?」

「あぅ・・・一応・・・。」

彼は私達の動揺をかる〜く無視していた。

「んー。俺って神様が見えたんだ・・・・。」

本当に驚いているんだろうか・・・・。

彼は羽入の顔と同じ高さに屈んだ。

「はじめまして。君の名前は何ていうのかな?」

あの時と同じ優しい笑顔で聞いた。

「ボクは・・・羽入というのです・・・。」

羽入!!何であんたが恥ずかしそうにしてるのよ!!

「よろしくね、羽入。」

彼はユルユルとした笑顔で言った。

「あ、あぅ……よろしく、なのです。」

「うん。よろしく。」

彼はそう言うと立ち上がった。

「さ、そろそろ帰ろうか。沙都子がうるさいだろうし、ふわぁ〜・・・。」

彼は立ち上がってそう言うと大きなあくびをした。

「あぅ〜、そうしましょうです♪」

先程の恥ずかしさは何処えやら、羽入は嬉しそうな顔をしていた。

何をデレデレしとるんだ・・・。

こっちはまだ動揺しっぱなしだっていうのに!!

「梨花ー、置いてくぞー。」

いつの間にか彼と羽入は階段を降りようとしているところだった。

「まっ、待ってよ!」

私は急いで二人を追いかけた。

















































彼が来てから一週間近くが経った。

たった一週間でも彼について色々なことがわかった。

まず彼はとんでもないくらいユルい。

普通なら驚くところでも「わー、すごいねー。」ぐらいである。

次に、彼はすさまじい運動能力などがある。

クラス全員で行った水鉄砲対決の時にそのスゴさが改めてわかった。

前と同じで魅音は強力な連射タイプの水鉄砲を使っていた。

私や部活メンバー以外の者は全く歯が立たなかった。

だが彼は魅音の銃撃を苦もなくかわし、一発で仕留めていた。

やがて生き残ったのは彼と圭一とレナ。

圭一とレナは何があったのかやたらと張り切っていた。

なので彼は二人のターゲットにされていた。

たたださえ本気になった時は怖い相手なのに、しかも二人も相手にしているのに彼は負ける様子を見せなかった。

二人の見事なコンビネーションの銃撃を素早く、時にはアクロバティックにかわしていた。

やがて時間切れになり、対決は終了した。



さらに、彼の食欲。

水鉄砲対決の次の日に、罰ゲームのためにエンジェルモートで部活をした時にそれはわかった。

ちなみにこの時に彼は詩音と初めて会った。

双子のことについては、「わぁ〜そっくりだね。」の一言で終わってしまった。

その後、よくわからない流れで彼と圭一とレナ、さらに入江と亀田がデザート早食い対決をすることになった。

レナと入江はそれぞれ特有の力でぱくぱくと食べ進めていた。

圭一と亀田は流石に二人には適わないといったところ。

そんな中、彼の早食いはすさまじいものだった。

まるで機械がデザートを口に運び、それを処理しているだけのような・・・。

でも彼の顔は全く曇ることもなく、黙々と食べていた。

後でそんなに勝ちたかったのか?と聞いたら。

「ふぇ?対決?デザート食べてただけじゃないの?」











・・・・天然?・・・・・











最後に料理の腕前。

彼の料理のレパートリーは非常に豊富。

和、洋、中華、お菓子類・・・・・。

ただ作れるだけでなく、隠し味などの工夫の仕方も素晴らしい。

沙都子と一緒に色々と教えてもらったりした。





































楽しいことがありすぎて、私は大事なことをまた忘れていた。

そう・・・この世界はレナが疑心暗鬼に陥ってしまう世界・・・。

それに気付いたのはゴミ捨て場で宝探しの部活をしようと圭一が提案した時だった。



















     第五話  完













未読Tips

精鋭VSスーパールーキー
報告書』 を入手しました。













――――――――――――――――――――――――――――――――――――― to be continued...


第6話 『仲間』へ





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