十数分後、五人は入江診療所に着いた。

しかし、外見が白い建物のはずなのに、やけにどす黒かった気がした。

中に入ろうと入り口に近づくと、いきなり白衣の医師二人が立ちふさがった、
2人とも髪が黒色で短いのでDr.イリーのコヒーではない事がわかった。

「本日、入江診療所は開いていませんが、何か用ですか?」

ぱっと見、ひ弱な二人が俺達に丁寧に質問する。



俺達は質問に―――答えなかった。
その代わりに二人の背後からレナと( ・3・)のネリチャギを後頭部に二人に食らわせて敵は数秒もたたずにたおれた。
敵に回すととんでもなく怖いぞ、二人とも。


そう思った直後、奥の診療部屋に「むぅー!!!」という悲鳴が響いた。
悟史の声に違いないが、ムー●ー●人かっ、とか、むぅむぅしか言えないのか、という突っ込みはしないでおく。
その声のした部屋に荒っぽく入ると、そこに目に映っていたのは―――――。

上半身裸になって、なみだ目になっているメイドな悟史と
それを見て俺達でも見ることが出来るほど白い吐息をはぁはぁと出している超ド変態魔人こと、Dr.イリー。


見た瞬間空気も時間も何もかもが止まった。



そのとき、ベルトのお腹辺りにある円盤がなにやらギュィンギュィン☆と猛烈に回転し始めている。

おぃまて。
なぜ回転している。
早く変身しろというのか。
しかもなんだ、ギュィンギュィン☆という効果音は。

しかし、早く変身しないと悟史に更なる惨劇がやってくることに間違いはなかった。

皆も気持ちがシンクロしたのか、それぞれのベルトが俺のつけているベルトと同じくらいギュィンギュィン☆と円盤が回転していた。


全てが止まっているこの空間の中、俺達はばらばらにポーズを決めてゆく。

レナはだっちゅーの、というポーズで。
( ・3・)は荒ぶる鷹のように両手を思いっきり伸ばし、足は片足立ちのポーズ、要するに『命』を表現するようなポーズで。
沙都子は銃を構えるようなセクシーポーズで。
梨花ちゃんは子猫が前足で掻くようなポーズで。
俺は空●●太郎の「やれやれだぜ」といわんばかりの奇妙なポーズで。


「『へぇんんしぃぃん!!!!』」


シンプルながらもそう叫ぶと、ベルトからキュピーンッという音を発し、暗い部屋が眩い光でいっぱいになった。

どうやら変身は成功したようだ。

そして、今までいいたかったキメ台詞を後ろからなぜか流れるBGMにあわせて言った。



「惨劇に立ち向かって運命はすべてぶち壊す! ひぐらしレッド、前原圭一っ!!」

「何を言ってもも『嘘だッ』で返すよ! ひぐらしブルー、竜宮レナっ!!」

「どんな相手でも引っかからせますわよ! ひぐらしイエロー、北条沙都子っ!!」

「どんな相手でも容赦しないよ! ひぐらしグリーン、園崎( `・3・)っ!!」

「運命になんて負けないのですよ! ひぐらしブラック、古手梨花っ!!」




「『平和な日常を取り戻すために戦う、その名も―――雛見沢最戦隊、ひぐらしファイブ!!!』」


……見事にきまったな、皆。 俺はすごく満足さ。
実はこういうの……小さいときからずっと憧れていたんだぜ…?


Dr.イリーは俺達が変身した事で、恐怖で顔を引きつっていた。

しかし、しばらくするとその顔はゆっくりと別の表情へ変わった。









それも











おぞましいほど歪んだ微笑へ。













「お…おぃ、Dr.イリー。 俺たちの何がおかしいんだよ!?」

余りにも不愉快な笑みなので、つい声を荒げた。

「ふっふっふ、くっくっく……フハハハハハハハハハハハ、あひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」

気が狂っていた……いや、狂喜していた。

「あっはッはッはッは……いやぁ、皆さん、なんと素敵な格好でしょう!!
 そうっ! これこそが私の桃源郷であるベスト・オブ・ハーレムッ!!!
 実にすぅばぁらぁしぃいぃっ!!」








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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ!?





イリーの反応から見て相当やばい事が起きていると体で理解した。

そして、ゆっくりと自分の体を見ると―――







とても短いエプロンドレス。今まで気づかなかった黒い革靴と白いオーバーニーソックス。
そして自分の手で頭を触ると―――――カチューシャの代わりに白いネコ耳バンドがついていた。



「な、ななななな…なんだこりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!??」




俺の叫び声が幾重もかさなり、響いた。


そう、俺はとんでもないメイドコスチュームを身につけていた。

そして四人を見渡すと―――それぞれ自分の服装を見て理解しようと必死に脳内を活動させようとしていた。

レナはピンクと白がメインのチェックのミニサイズのメイド服。
( ・3・)はゴスロリ風のかなり露出度の高いメイド服。
沙都子は悟史と同じメイド服で、首輪付。
梨花ちゃんはネコ耳・尻尾・鈴という3種の神器をフル装備の和風メイド服。


そして、一斉に。



「『ぎゃぁぁぁぁ!!!? 何これぇぇぇぇぇ!!!??!』」




建物が崩壊するんじゃないかと思うほどすごい大声だった。

皆が余りの恥ずかしさに次々と戦闘意欲を失う中、Dr.イリーのオーラはより濃く、より強く、より強大で、おぞましく、強くなっていた。



「さぁ……皆さん、たぁ〜っぷりと調教をしてあげますよぉ〜……ぐげげげげげげげげげげぇ!!!」

A級ホラー並みの怖さをこの身一つで強烈に味わされた。

いつの間にか、皆縛られて俺も含む誰もが身動きできない。


「うおぉぉぉぉ!! やめろぉぉぉぉ!!!」 必死に叫ぶ俺。
「ひぅっ!? こわいよぉぉぉ!!」 本当に泣き叫んでいたレナ。
「ふわあぁぁぁぁん、助けてー、にーにー!!!」 囚われている悟史に助けを求める沙都子。
「ちょ、嘘・・・やめっ」 必死に命乞いをしている( ・3・)。
「みー!? なにをするのですかー!?」 涙が止まらないほど出している梨花ちゃん。


口々に叫びながら、超ド変態魔人Dr.イリーの魔の手によって、一人ずつ動かなくなっていく。
動かなくなった部員の瞳は光が無く、焦点が合わず、ただ天井を見上げて涙をこぼしていた。


次々と純潔が奪われていく中、その魔の手は俺にも向けられた。
だんだん意識が遠くなってゆく。
あぁ、俺もこんな屈辱的な死に方をするのだろうか。




その後は何をされたのかわからなかった。
ただ、一つだけわかった事。



それは最初にして、最悪な敗北である事だった。

この後の惨劇は、絶対に語りたくない。

これは数々の惨劇の中で

別の意味で凄く性質の悪い惨劇だった。












雛見沢入江診療所監禁事件


■発生 昭和58年 10月 3日 午後6時30分


■場所 鹿骨市雛見沢X丁目 入江診療所


■概要
午後3時頃、雛見沢分校で次々と児童が失踪し、騒がしかった雰囲気が急に静かになった。
1時間以上経過しても戻ってこない事に不審に思った学校内の担任からの電話と、村人の目撃情報により入江診療所だと判定し、事件発生から1時間半後に突入。
その中にいた六名の児童を保護し、入江京介容疑者(2X歳)を入江診療所にて誘拐・監禁・及び強姦未遂で緊急逮捕した。

調べに対し容疑者は犯行を概ね認めており、
「メイド姿がとても萌えた。そして、ついカッとなってやってしまった。今は後悔していない」
と供述。

なお、保護した六名の児童の怪我はなかったが、数名がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性があるため、現在興宮内の病院で治療を受けている。


今後、容疑者の更なる発言を追及し、六名の被害者にも事情を求める方針。






どうしてこうなったのかはわからない。

けれど、悪いのは入江じゃない。

そう、本当の黒幕は―――――。

































お魎であった。







To be continued...?










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